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ジャッカルD

Author:ジャッカルD
WOLF RPGエディター(通称:ウディタ)でゲーム制作をするウディタリアンです。マイペースにのんびりと制作をしています。メンタルが弱いので時々鬱っぽくなるのはご愛嬌。

ここでは制作の事とかリアルの事とかを思うままに書いていきたいと思います。月末1回の更新ができたらいいなと思ってます。

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王立魔術学院魔術研究室D

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十日間の白雪姫の小説版を公開しました

拙作のノベルゲーム『十日間の白雪姫』の小説版をPixivで公開しました!

今回は小説版公開の報告と、小説版作成に当たって感じた事をざっくりと書こうと思います。


原作のノベルゲーム版のDLはこちらから。

小説版はこちらから。


※ネタバレが含まれていますので、未プレイの方は本作品をプレイしてから読むのを強く推奨します。






さて、今回小説版を作った理由なんですが、それは「作品の範囲を広げたい」と思ったためです。

現在、自分の活動としてはフリーゲームとイラストを行っており、その公開範囲としては公式サイトやツイッター、ウディフェスやふりーむ!などのフリーゲーム公開サイト、Pixivなどで公開しておりますが、今回はそこからもう一歩、新しい場所に手を出してみたいなと思いました。
ですが、いきなり新しいコンテンツで新作を作るとなると大変なので、既存の作品でうまく作れないかなぁと考えていました。
そこで思い付いたのが、『十日間の白雪姫』の小説版です。
元々ノベルゲームという事もあり、単純に小説形式に移植しやすそうだと思ったのと、単純に作品としてのポテンシャルが高い(当社比)ので、本作を小説形式で執筆しました。
(ちなみに小説版に関しては『魔法交騒譚~The Black Box~』も案としてありますが、原作とは異なる展開になるのと、作業量の問題からポイしています。)

そんな感じで小説版の作成を行ったのですが、その中でノベルゲームと小説との違いを多く感じたので、その事について備忘録も兼ねてまとめたいと思います。


1.文章だけで表現する難しさ

これ。小説版で大変だった事の9割がこれだと思います。
「ノベルゲームと小説なんだから大して変わらなくない?」みたいに思われるかもしれませんが、それは大きな間違いです。僕もそうだった()
ノベルゲームと小説とでどう違うかを簡潔に言うと、「ノベルゲームは小説と比べ、文章以外の情報がほぼ常に出されている」という事です。
具体的にはノベルゲームでは文章以外にも、立ち絵やイラスト、BGMやSE、シーンによってはエフェクトやアイキャッチが使われたりしますが、小説の場合だと挿絵が時々あるくらいで、ほとんど文章のみで構成されています。
これが表現として息苦しく感じまして。基本的にゲームで物語を表現してきた自分からすると表現の幅が狭く感じました。

例えば、学校の廊下で友人と挨拶して雑談するシーンがあったとします。
ゲームだと「背景に学校の廊下を映して」「朝の賑やかで楽しげなBGMを流して」「キャラクターを横からスライドインさせて」「キャラクターの立ち絵の表情を変えて台詞を表示する」といった流れで表現します。
これを小説風に表現すると、以下のようになります。

朝。学校の廊下には生徒たちが賑やかに教室へと向かって行っている。
朝早くから登校していたアクアは真っ赤な魔女服姿の親友を見つけると、すぐさま駆け寄る。
「おはよう、フレイミ!」
「おう! アクア!」
普段は遅刻ギリギリに登校してくるフレイミが、珍しく余裕を持って来た。
アクアは毎朝問いかけている質問を投げかける。
「宿題はちゃんとやってきたのでしょうね?」
「驚くなよ? 今日はちゃんと宿題をやってきたんだぜ!」
フレイミが自信満々に答える。気が強いので自信満々なのはいつものことなのだが、勉強に関して堂々としているのは学院に入学して以来だ。
「……本当?」
アクアの青い瞳が、余裕そうな表情のフレイミに疑いをたっぷりと含んで見つめる。
「ホントだって! ほら、ちゃんとノートに書いてあるって!」
フレイミがそそくさとノートを開いてみせると、そこには昨日の授業で先生から出されていた課題がしっかりと書かれており、身の潔白を証明していた。

いや、普通に面倒臭い。
書きながら改めて思いましたが、地の文を丁寧に書くのが凄く面倒臭い。日本語としておかしくならないように、いい感じの言葉を選んで表現するのが大変で、どうしても煩わしく感じてしまいます。
特に、キャラクターのビジュアル周りに関しては非常に面倒で、長過ぎないようにうまく調整しつつ、キャラクターの心情や雰囲気を表現しないといけないので、凄く頭を使います。
十日間の白雪姫ではユキのビジュアルは序盤に丁寧に描写したので、キャラクター全体としての描写はそこまで大変ではありませんでしたが、シーンによる表情の変化などはゲームでは立ち絵に任せっきりなので、そこを文章で表現するのに苦労しました。

ちなみに、先程の小説風文章をゲーム用の表示・処理を追記すると、以下のような感じになります。

朝。学校の廊下には生徒たちが賑やかに教室へと向かって行っている。 ←学校の廊下の背景を表示。朝の学校の明るいBGMを再生。賑やかな声のSE再生。
朝早くから登校していたアクアは真っ赤な魔女服姿の親友を見つけると、すぐさま駆け寄る。 ←アクアとフレイミの立ち絵をスライドインでそれぞれ表示。
「おはよう、フレイミ!」 ←文章ウィンドウの上部に「アクア」と表示される。立ち絵の表情が笑顔になり、立ち絵が上下にぴょこんと動く。
「おう! アクア!」 ←文章ウィンドウの上部に「フレイミ」と表示される。立ち絵の表情が笑顔になり、立ち絵が上下にぴょこんと動く。
普段は遅刻ギリギリに登校してくるフレイミが、珍しく余裕を持って来た。 ←ここは地の文のママ。台詞にするなら、「今日は珍しく早いわね」など。
アクアは毎朝問いかけている質問を投げかける。 ←ここも地の文のママorカット。
「宿題はちゃんとやってきたのでしょうね?」 ←文章ウィンドウの上部に「アクア」と表示される。
「驚くなよ? 今日はちゃんと宿題をやってきたんだぜ!」 ←文章ウィンドウの上部に「フレイミ」と表示される。立ち絵の表情が自信満々の表情になる。
フレイミが自信満々に答える。気が強いので自信満々なのはいつものことなのだが、勉強に関して堂々としているのは学院に入学して以来だ。 ←ここは地の文のママorカット。
「……本当?」 ←文章ウィンドウの上部に「アクア」と表示される。立ち絵の表情が疑うような表情になる。
アクアの青い瞳が、余裕そうな表情のフレイミに疑いをたっぷりと含んで見つめる。 ←ここはカット。立ち絵で表現できているため。
「ホントだって! ほら、ちゃんとノートに書いてあるって!」 ←文章ウィンドウの上部に「フレイミ」と表示される。立ち絵の表情が少し焦った表情になる。
フレイミがそそくさとノートを開いてみせると、そこには昨日の授業で先生から出されていた課題がしっかりと書かれており、身の潔白を証明していた。 ←ノートの画像を表示orノートを開くSEを再生。

こんな感じで、ゲームでの表現と小説での表現では同じ文章でも全く表現方法が異なるので、たとえノベルゲームのテキストをそのままコピーしただけでは小説の形にはならないのです。

また、立ち絵や背景、BGMやSEの存在も非常に大きいです。
例えば今作だと、背景はそのシーンはどの場所の出来事なのか、雪解けの時期が近付いて来た事の表現などがされてます。
BGMも、その時の雰囲気や空気感を出すのに重要です。二人が楽しそうにしているのか、気まずそうなのかも、ほとんどがBGMによって担われています。
それに加えて、タイトル画面の存在も大きいです。小説では表紙に当たるのですが、ゲームのタイトル画面では様々なイラストや演出を活用できるので、物語の世界に入る導線としては非常に重要です。ぶっちゃけ、今作のタイトル画面はBGMの存在が偉大過ぎるのですが。

他にも、細かいシーンで言うと、終盤でのユキの表情や心情の変化などを文に置き換えるのが大変でした。終盤は文章構成が結構シビアなので、なかなか修正しづらかったです。
あとは、ラストシーンの(ネタバレ防止反転)ユキが春の訪れと共に段々と身体が透けていって消えてしまうシーンは、ゲームでの処理が無いとそもそも表現が非常に難しいなと思いました。

あと、やっぱりシーンの描写が結構大変で、どうしても文章だけの表現では限界を感じる場面がいくつかあったので、小説版の特典も兼ねて一枚絵をいくつか描き下ろしました。
こちらに関してはファンサービスの面もありますので、ノベルゲーム版が気に入られた方はぜひ見てみて下さい。
決して自分の文章力が無いからイラストに逃げた訳ではない。断じてそうではない。多分。きっと。

そんな感じで、ゲーム用の文章を小説用の文章に直すのに苦労しました。
いやぁ、小説を書ける人は凄いなぁ……と、つくづく思いました。

ちなみに上の例文を書く時、どうまとめようか思い付かずにダラダラと書き続けてしまいました。


2.読者の読むペースをコントロールできない

地味に痛感したのがこれ。具体的には、文章の表示速度やシーン切り替えの待ち時間、一枚絵や立ち絵の表示時の待ち時間などです。
文章の表示速度なんかはよく嫌われがちで、人によってはボイスの再生を待たずに読み進めちゃう人もいたりしますが、結構重要な要素なんだなって後から気付きました。
というのも、文章を読む速度……厳密には文章を読む中で生じる“間”のコントロールのしやすさが、ゲームだと段違いです。
例えば先程の例文ですと、「朝の廊下の賑やかな景色」や「アクアがフレイミを見つけて近づく」、「自信満々に宿題をやってきたフレイミに対して疑っているアクア」などでウェイトを置かせる事で、プレイヤーがその情景や状態を認識させたり、キャラクター同士のやり取りが活き活きとします。

あと、結構重要だなぁって思ったのが、ゲームだと“一度に表示させられる文章量が調整できる”んですよね。
これがとっても大きくて、要は一度の開示する情報量を調整できるのと、一度の表示に表現したい内容を揃えられるんですよね。
小説だと、うまく段落で分けたりページを変えたり等は出来ますが、読む人によっては流して読んでしまう事もあるので、ゲームのように読むペースやテンポをコントロール出来ないんですよね。

逆に言うと、小説は読者のペースで読めるので、そういう意味では読者にとっては気楽に読める形式とも言えます。
区切りの場所も文章の方がわかりやすいですし、ユーザー視点では小説の方がフレンドリーかもしれません。

要するに、作者が想定した理想の読書ペースで、読者に読んでもらえるかどうか、という話です。
そう考えると、ゲームって理想の表現を徹底的に出来る仕組みなんだなぁと思いました。


まとめ

今回は小説版の執筆に当たって、ゲームと小説との表現の違いを味わいました。

小説は文章のみなのでスクリプトやイラストが無くても表現出来るが、代わりに文章であらゆるものを表現する文章力が求められる。
ゲームは様々な要素が組み合わさっているので多様で複雑な表現が出来るが、代わりに様々な素材を扱う能力や作成するスキルなどが求められる。

それぞれの良さや難しい点などを学べる、とても良い機会でした。
今後は、こうした表現の違いも考慮して制作が出来たらなぁと思います。

また、元々物語を描くのが好きなタイプの創作者なので、文章で表現するのも自分には悪くないかなぁと感じました。
メインの創作はゲームなのは変わりはありませんが、作品の補足や、追加コンテンツとして小説はアリかなぁと思ってます。
具体的なビジョンはありませんが、今後の創作活動で活かしていきたいと思います。


それでは、またどこかで。


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