本作もあとがきを書く事にしました。
今回はいつもよりも短期間な制作でしたので文量は少ないですが、それでも自分の中では大切な作品なので、自身の制作観を見直すのも兼ねて、あとがきとさせて頂きます。
ただし、本作品はノベルゲームという形式上、このあとがきには盛大なネタバレが記載されておりますので、未プレイの方は注意して下さい。
ゲームのDLは
こちらから。
※相変わらず長いです。
※盛大なネタバレがあります。未プレイの方は本作品をプレイしてから読むのを強く推奨します。
■本作を作る事になったきっかけ
まず初めに、本作を作るきっかけについて書きます。
本作を作るきっかけとなったのは、とあるウディタリアンAさん(仮称)との作業通話でした。
その日、たまたま一緒に作業通話する事になったAさんは偶然、ウディフェス用の作品を作っており、その作業を眺めていました。
自分は特に制作とは関係無いイラストを描いていたのですが、Aさんから「ジャッカルさんはウディフェス用に何か作らないんですか?(意訳)」と言われました。その時、自分は「ネタは無い訳じゃないんだけどね~(うろ覚え)」と答えました。
実際、ちょっとしたネタがあるにはあったのですが、特にそれで何かを作ろうとは思ってはいませんでした。
……けれど、ここしばらくはスランプ気味という事もあったので、ここらで一つ短編でもいいから作ってみようかなと思いました。過去に、2018年のウディフェス外伝十分ゲーフェスに、ものの一ヶ月で作成したゲーム(
ウディれ!ジャッキーちゃん)で参加してたりしたので、ちゃんと計画して準備すれば出来るんじゃないかなぁとぼんやりと考えてました。
……せっかくの機会ですし、自分の足跡を残すという意味合いを込めて、本作を作る事にしました。
■企画
本作品のテーマとして、「雪の少女と一冬を過ごす、切なくも暖かな物語」を掲げました。
また、十日間という日程設定は、今年のウディフェスのテーマである「+」から決めました。
それに見合うゲームジャンルを考え、ADVとノベルを挙げました。
初めの頃はADV形式で各日に行動を選んで、それに応じて好感度が上昇、それを繰り返して指輪を渡せたらエンディング、というスタイルを想定していました。また、一冬は十日で終わり、その時点で一時的にお別れになりますが、翌年再び出会って、一冬を繰り返して……、といった内容を考えていました。
……が、ここまで考えた時点でシステム設計と素材作成等の時間をざっくりと計算したら、確実に締め切りまでに間に合わない事が判明しました。
そのため、物語は一冬で終わり、選択肢による分岐の無い一本道のノベルゲームになりました。納期のデーモンには勝てなかったよ……。
■キャラクターデザイン
そんな感じで企画が出来上がったので、次はキャラデザ。
今作は早期にシステムはウディタ公式ページのコモンイベント集にある物を使用すると決めたので、システム構築よりもキャラデザを優先しました。何より、物語が最重要なジャンルですので、キャラクターは今まで以上に丁寧に作る必要がありました。
最初にデザインしたのはユキ。……そもそもユキしかビジュアルのあるキャラはいないけど()
ユキは文字通り「雪の少女」ですので、雪らしく白や水色といった寒色系の色を中心にして、儚げな感じになるようにデザインしました。
色白の肌、銀色の髪、雪の結晶のように青い瞳、華奢な身体つき……などなど。ワンピース姿なのは、雪の積もる真冬でも薄着姿で問題ない、人とは違う感じを出すためにワンピース一枚の姿にしました。また、大きなリボンはユキの子供っぽさを出すため、リボンに付いた宝石は雪の結晶をモチーフに六角形にデザインしました。
……ちなみにこの時点で企画を初めた初日だったりします()
そして名前についてはジャッカル作品のヒロイン恒例、そのままです。ジャッカル作品のヒロイン達はわかりやすさ重視ですので。
そして肝心な性格等についてなのですが……実はキャラクターデザイン当初はほとんど考えておらず、テキストを書きながらイメージを固めていった感じになります。
本当ならば、「
魔法交騒譚」や「
うぃっちーずりばーし!」のように、事前にキャラの設定等を決めておいて、自分の中でキャラクターを動かしたり会話させたりしてキャラクターの内面を固めていくのですが、今回は納期のデーモンの存在により、テキストを書きながらになりました。
ただ、それでも早期にキャラクターの内面を決める事が出来ました。人見知りで寂しがりや、けれども子供のような面もあり、相手の優しさを汲み取れる心を持っている。そして最後は自分の運命を受け入れられる。
見た目は儚い少女ですが、その中には確かな強さがある。そんな少女になりました。
次にデザイン(?)したのはカガリ。……ビジュアルは無いけど()
カガリはこの手のゲームでよくある男性主人公を想定していましたが、当初よりも違う形になったなぁと思っています。
ひとまず優男という設定だけでしたが、“ぬくもり”というテーマからユキと対比となる「炎」をモチーフにしていきました。
そこから暖かさを配る薪割りの仕事、そして相手を思いやり、優しく包み込むような人柄になりました。
名前の由来は「篝火」から。
決して某高難易度アクションRPGは関係無い。あと、「カガリ」の名前は某ロボットアニメの影響で女性キャラの名前に思えてしまう。内面についてはユキ同様、テキストを書きながら組み立てていきました。納期のデーモンが(ry
ビジュアルが無いので大丈夫かなぁと思いましたが、初日の出だしのテキストを書いた時点で結構イメージが固まっていきました。自然に対する憧憬と、優しさ。それが、ユキを受け入れられた彼の強さ、そして暖かさなのでしょう。
■テキスト作成
ユキのビジュアルが決まった辺りからテキストの作成を開始。
(キャラクターの内面については上述の通り、テキストを書きながら考えました。)
こちらは当初の予定通り十日間分作成しました。
……ただ、地の文を交えたノベル形式の文章を書くのは(過去にSSらしいものは書いたことがあるものの)今回が初めてなので、文章のセンスゼロの状態で書く事に。
セリフ文ならまだしも、特に地の文は経験値ゼロなので、完全にジャッカルの好み全開の文章になりました。ちょっと詩的な表現が多いのは、そのためです。
また、全体的に文章がまどろっこしかったり、テンポがあまり良くないのも、自分の文章の癖です。こちらは「
魔法交騒譚」でもなんとなくわかるかと思います。
ただ、自分の作品は多少会話のテンポが悪くなっても、キャラクター同士のやり取りをじっくり、というかねっとりと描いて、それぞれの関係性や人間らしさを表現したいなと思っています。
ですので、十日間という短い日にちでありながらも、それなりの文量になりました。自分で声を出しながらプレイして50分程の内容になりました。
一気読み出来る文量ではありますが、セーブ機能もありますので、無理せず読みたいペースで読んで頂けると幸いです。
ストーリーについては「雪の少女との十日間を過ごして、心の中に生まれた“ぬくもり”を感じ取り、お別れする」というおおまかな流れから作成しました。
雪が降ると共にユキと出会い、互いの事を少しずつ知り、そして惹かれ合い、別れる運命と向き合い、最後は指輪と共に愛を伝え合い、そして優しく別れる。
初めは細かな会話内容やプロットは考えておらず、自分の描きたいシーンをリスト化して、それを書いていきました。
……とはいっても、最初の5日はほとんどノープランで書いていました()
というのも、それまではキャラの設定も細かくは固まっておらず、書きながらキャラクターの設定を考えて、そして描きたいシーンを考えていました。
そのため、序盤は初々しい感じがありますが、後半からは物語のテンポが良くなったような気がします。
例えば、「ユキは熱が苦手」という設定も二日目のテキストを書いている段階で思い付いて、それを元にカガリがユキの腕を掴んで助けるシーンや、抱きしめるシーンが思い付いて、それを後半に詰めていきました。
そんな訳で結構行き当りばったりなストーリーではありますが、個人的には上手くまとめられたんじゃないかなぁと思っています。
普段、放し飼い同然の制御不能なキャラ達をまとめてるからだろうか……。ちなみにですが、「冬が終わってもユキとは別れず、二人はずっと一緒に幸せに過ごす」というエンドは
全く考えていません。自然の摂理には、逆らえないのです……。
テキストは一月末にはベースが完成しました。当初の計画では、一月中にはテキストを完成させる予定でしたので、順調に作業が進んでいました。
ちなみに文字数を数えてみた所、総文字数は約23,000字でした。
……よくもまぁ、素人がここまで書いたものだ()
■立ち絵作成
続いて立ち絵の作成。今作ではビジュアルのあるキャラがユキしかいなかったので、非常に気楽でした。
立ち絵でもユキの心情の変化を出したかったので、ポーズは2種類、差分は合計で17枚作成しました。
一見、多いように見えるかもしれませんが、同一キャラの表情差分であり、過去にも何度も表情差分付きの立ち絵を作成していますので要領よく作業が進み、こちらは土日の二日程度で完成しました。
■コモンイベントの導入
今作はノベルゲームに決めた段階で、システムはコモンイベントをお借りしようと思ってました。納期のデーモン的にも、それが一番短時間で済ませられるし、安牌かなぁと思ってました。
……その考えはすぐに打ち砕かれましたが()
ジャッカルを待ち受けていたのは、以下の試練でした。
・サンプルゲームがDL出来ない(アップローダーのサービス終了のため)
・コモンイベントにコメント文が書いてない。
・コモンセルフ変数に名前が付いてない。
・処理が整理されておらず、バグが放置されている。
・ウディタのDBの強みを全く活かせておらず、メンテナンス性が悪い。
……と、とてもじゃありませんが扱いやすいとはかけ離れた物でした。
コモンを借りている身なのであまり文句は言えない立場ですが、それにしても改造、修正がしにくい構造とバグは何とかならなかったのかと……。
そんな感じで、コモンイベントの改造とバグ修正に時間を取られ、最終的には公開の数日前まで修正をするハメになりました。ゲームファイル出力後にバグが出るとか極悪過ぎる……。
今作ほど、F7のピクチャ情報表示とデバッグ文、コモンイベントの検索機能を使った事はありませんでした……。
(F7のピクチャ情報表示はピクチャの表示&移動したコマンド行数が表示されるので便利です。)
ウディタを起動していた時間のほとんどが、この作業だと思われます。
■背景画像作成
続いて背景素材なのですが、本作を作るにあたっての最大の懸念事項でした。
企画を立てた段階で素材を探し始めたのですが、困った事にちょうどいい素材、すなわち「雪」に関する背景素材がほとんどありませんでした。
雪の街、雪の山道、大樹の雪原。この3つが最低でも欲しかったのですが、探しても見つからないという状況に。
流石に背景無しはマズイですし、何とかしないとと思い詰めた結果……、自分で背景素材を改変して雪の背景を作成する事になりました。
これでも一応は絵描きの端くれ、背景もいくばしか練習した事があるので何とかなるだろう。そう、思ってました……。
しかし、そんなジャッカルを待っていたのは、人間性ロスト不可避の超絶地味作業でした。
具体的には、白で塗ったくった上で、木の葉を全て消すという作業です。
雪で白く塗るのはベタ塗りと陰影付与で何とかなりますが、問題は「木の葉を全て消す」作業。
山道の背景では無限に広がる葉っぱを全て手作業で背景色で上塗りして消していきました。
多分、この作業だけで丸一週間は溶けてなくなりました。作業中は心が折れソウルでした。
とはいえ、手作業で背景を改変したお陰で、雪解けの風景差分も作れたのはメリットでした。そのため、終盤での背景の変化がより印象的になったと思います。
でも、これだけは言わせて下さい。
二度とやらない。
■音楽素材
相変わらずよく迷う事に定評のある音楽素材関係。
今回はSEの数は少なめに、BGMは盛りだくさんになりました。
SEの方は最初は特に入れる予定はありませんでしたが、メリハリを付けたり、シーンのイメージが湧きやすくなるように、ワンポイントくらいの感じで入れました。
テキストやイラストだけでなく、サウンドでも楽しめるのがノベルゲームの利点ですからね。
BGMの方は結構苦戦しました。タイトル曲とラストシーンの曲は非常にすんなり決まりましたが、他のシーンでの曲選びは難航しました。
作風を統一させるために、BGMは全て同じ素材屋さんの曲を使って、かつピアノ曲を中心に構成させましたが、なかなかシーンに合う曲を探すのが大変で……。
結局、BGMの数が膨大になり、最終的に19曲も使用する事になりました。プレイ時間1時間未満のゲームでこれだけ大量のBGMを使用するのは、多分僕くらいでしょう()
さらに言うと、その19曲の内、ピアノ曲が18曲というトンデモ構成になっております。一つの素材屋さんの曲で一つのジャンルの曲をこれだけ多く使ったのは、後にも先にも自分だけかもしれません()
けれど、どのBGMもしっかりとシーンに合うように選びましたのでご安心下さい。
……ぶっちゃけ、素材の曲名で選んだものも多いのですが()
例えば、九日目でユキを抱き締めるシーンの曲名は「想いを抱いて」、十日目の朝の曲名は「雪どけ」、そしてタイトル曲は「白い静寂」となっております。
なんかもう、本作に使うしかないと思えるような曲名ですね。
ちなみにBGM素材をお借りしたのは、自作品では定番となっている
音楽の卵様。
音楽の卵様のBGM、特にピアノ曲は非常に素晴らしくオススメです。ピアノの美しい旋律の中に優しさや暖かさが秘められている、素敵な曲がたくさんあります。
そんな素敵な曲のメロディが、本作のテーマと見事にマッチしていると感じたので、本作ではたくさん使わせて頂きました。
■一枚絵
実は、これまでの作業が終わった時点では一枚絵は特に描こうとは思っていませんでした。
この時点でウディフェスが開幕。テストプレイが終わればすぐにでも出せる状況でした。
けれど、テキストと立ち絵(と背景)のみの現状で本当にいいのだろうか? そう思い始めました。
一般的なノベルゲームでしたら、ここ一番のシーンで一枚絵を出して盛り上げるのですが、自分の作品の現状だと、立ち絵と文章で淡々と進んでいく状態でした。
ですので、クオリティアップを図るために一枚絵を描く事にしました。
ですが、上で何度も出てきているように納期のデーモンの存在がありますので、出来るだけ枚数は少なくして、一番大切なシーンのみを選んで描きました。
結果、初めて出会うシーンと、ラストシーンの二つになりました。
イラスト枚数は2枚、差分は6種類のみという少数精鋭のスタイルになりました。
けれど、シーン選定は間違いはなく、そしてイラストも十二分の出来になったので、ゲームに入れ込んで、一旦の完成となりました。
■テストプレイ
実際にはテキストや立ち絵等の素材が出来たあたりでインポートしながらテストしたので、各作業の合間合間に行ってました。
ただ、上述の通り借りたコモンイベントが結構悲惨な状態だったので、ゲームに実装と同時にバグ修正や改造を繰り返していました。
そして迎えた最終テストプレイ。
当然のようにバグが出て、何度も修正作業を行いました()
いや、だって誰もロード処理がバグってたりとか、必要性がまるで感じられない拡張子読み込みコモンのせいで暗号化するとバグったりとか、そんなの思いもしないでしょう……。お陰で、ゲームデータ作成してからもバグ修正を続けていました。
そんな感じで、最終的にバグ修正とテストプレイが完了した時には既に応募期間の最終週に食い込んでしまいました。
だが俺は納期のデーモンに勝った。
VICTORY ACHIEVED■タイトルについて
元々、本作品を企画した時点でのプロジェクト名が「白雪姫」だったので、それに則ってタイトルを付けました。「十日間の」と付ける事で、物語の期間のイメージが掴みやすくなると思うので、そのようにしました。
……実際には、本当に十日間しかいられない白雪姫なのですが。
そういう意味では、本作品のストーリーを端的に表しているとも言えますね。
また、タイトル画面にはちょっとした仕掛けを入れました。クリア前後でタイトル画面が変わりますので、是非見てみて下さい。
■本作品の宣伝等について
本作品は従来の作品とは異なり、制作の進捗をまるで出していませんでした。
そのため、周りからはサイレント制作をしていたなど言われました。
別にええやろ!とはいえ、一応これには理由があります。
本作品のテーマは「暖かな“ぬくもり”」です。
決して「可愛い女の子との一冬」とか「少女とイチャイチャするゲーム」ではありません。
自分はこれまで、自作品の進捗や、関連するイラストやツイートを流してプロモーションもどきを行ってました。
けれど、それはあくまでも作品を知ってもらう方法の一つであるのにも関わらず、そのプロモーションでの活動やビジュアルばかりが優先されてしまい、作品内のメッセージやテーマが軽視されてしまっている。
そう感じていました。
もちろん、キャラクター達を好きになってもらうのは大事ですし嬉しいです。
けれど、それは本当に「作品を楽しんでもらっている」のでしょうか?
あくまで上辺だけの彼女達を好まれても、本当にそれは愛されていると言えるのでしょうか?
ゲームというのは、プレイヤーがプレイして初めてその深層に辿り着いて、神秘に触れるかのように、そしてそれを感じ取る事で、ようやくその作品を愛せるものだと思っています。
ですから、上っ面だけを掬って取ったような好意は、本当の意味で作品への好意ではないと思っています。
ですので、本作品はそのテーマをしっかりとプレイヤーに伝わるように、プロモーションは最低限度にして公開する事にしました。
その分、手に取ってくれるような人は減るんじゃないの? と思われるかもしれませんが、そもそも本作品は今年のウディフェス作品内でもやや手に取られにくいジャンルかつ、ストーリーも王道な恋愛モノとは異なっているので、そもそも最初から手に取ろうと思わない人には合わない可能性が高いと思い、プロモーションは最低限度にしました。
あと、ゲーム体験的な話を加えるならば、プレイヤーはカガリと同じタイミングでユキと出会って欲しい、という意味合いもあります。早い話が、プレイヤーがカガリと同じ気持ちになって欲しいという事です。
ユキについての事は、カガリと一緒にゆっくりと知っていって欲しいのです。
ですので、本作品は偶然知った人が偶然手に取ってもらえるくらいの宣伝にしました。
ぬくもりは見せびらかすものではなく、内に秘められるものなのです。
■参考にした作品とか
本作を作るにあたって、参考にした作品を挙げたいと思います。
・好きなアーティストの音楽
正直に懺悔します。この曲の影響を受けまくっております。というか本作のネタである「雪の少女との一冬」はこの曲から来てたりします。申し訳ありません。
初めてこの曲を聴いた時、泣きそうになる程に感動しました。それくらい、自分の心に強く響きました。
泣きたくなる程哀しい、けれど、胸の中に優しさが残る。そんな素敵な曲でした。
その感動を形として残しておきたい。そんな思いが本作を作るモチベーションとなりました。
ただ、この時点ではまだ、自分が何に感動して、何が素晴らしかったのかは言語化出来ず、自分の心の中では曖昧な形でした。
それを言葉にして形にしてくれたのが、もう一つの作品です。
・とあるフリーゲーム
こちらは年明け頃にプレイしたフリーゲームです。
雪が降り続ける道を一人のマッチ売り風の少女が歩いていく、ノンマップRPGです。
この作品とは偶然と言うべきか……必然と言うべきか……。ある意味、運命的な出会いでした。
この作品からは作品本体というよりも、クリア後に出力される「あとがき」に影響を受けました。
あとがきには作者さんがその作品を作った経緯について書かれおり、「冬の寒さから憧憬、正確には寒さそのものに対してではなく寒さの中の暖かさを引き起こされ、作品を作りました(意訳)」と書かれてました。
自分はそこから、自分の作品制作において大切なものを、今一度思い起こされました。
自分はどんなゲームを作りたいのか。どんな思いをゲームに込めてきたか。
それは、人の心の中にある“優しいぬくもり”だと。
どんなに暗い中でも、どんなにつらい時でも、心の支えとなる、暖かな光。
それが、自分の作品の中で、大切にしてきたものです。
サリアも。アッシュも。リーシアも。セイルも。アクアも。フレイミも。クロアも。エレスも。リーファも。ラッカも。
心の中にある“ぬくもり”を大事にして。時には分け与えて。そして、みんなを暖かく包み込んで。
そんな作品を、自分は作ってきたのだと。改めて思い起こす事が出来ました。
これが、自分の作品制作の一つの到達点なのかもしれません。
そういった意味では、このフリーゲームに一番影響を受けたとも言えるかもしれません。素敵な作品を、ありがとうございました。
ちなみに自分は諸般の事情により、そのゲームの作者様には頭が上がりません。■ウディフェス参加について
まずはウディフェス第十回開催おめでとうございます。相変わらず大好きなイベントですので、十回という節目を迎えられた事が素直に嬉しいです。
(今年のテーマの「+」は「第“十”回」から来ているのですかね?)
そして本イベントへの参加は冒頭に書いた通り、Aさんに声を掛けて頂いたのをきっかけに参加を決めました。
今年もウディフェスに関われて嬉しく思います。
今年も力作が揃っており、ついつい目移りしてしまいます。
皆様も是非、素敵な作品達を楽しんで頂けたらと思います。
■最後に
本作品はジャッカルとしても随分と風変わりな作品でありながらも、自分にとって大切な物を形として残せた作品だと思っています。
普段はゲーム性を意識した作りをするように心掛けていますが、本作はゲーム性を重視せず、ストーリーを主軸にした作品に仕上がりました。
その代わり、自分が作品に込めてきた思いや願いを詰めた、とても優しく暖かな作品になったと自負しております。
他の作品を花火と例えるなら、本作品はロウソクの火でしょうか。
周りと比べて華やかさや大きさは見劣りしてしまいますが、けれど、暗い中でも確かに灯り、そして優しく心を包み込み、そっと心の中に残る。そんな作品になれたと思います。
そして心の中に新しく灯った暖かな“ぬくもり”が、また新たな形で他の人に分け与えられていく。
そうして少しずつ、世界が暖かくなっていく。
そんな風になれたらなと、思っています。
自分の中で生まれたぬくもりが、誰かのぬくもりになりますように。
そしてそのぬくもりが、また誰かのぬくもりとなりますように。
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