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ジャッカルD

Author:ジャッカルD
WOLF RPGエディター(通称:ウディタ)でゲーム制作をするウディタリアンです。マイペースにのんびりと制作をしています。メンタルが弱いので時々鬱っぽくなるのはご愛嬌。

ここでは制作の事とかリアルの事とかを思うままに書いていきたいと思います。月末1回の更新ができたらいいなと思ってます。

新しくホームページを開設しました。今後はそちらの方で作品を公開していきたいと思います。
王立魔術学院魔術研究室D

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ちょっとしたお話

どうも。今回はちょっとしたSSのようなものを暇な時間に書いたので、ここに公開しておきます。
なお、自身はこういった書物に関しては全くの無知で素人同然です。変な文章だと思うかもしれませんが、ご容赦下さい。
内容としては、現在製作中のゲームのスキットのようなものです。軽い読み物程度の気持ちで読んで頂ければ幸いです。



「クロア!放課後魔法勝負しようぜ!」
昼休みが始まってすぐにフレイミがクロアに呼びかける。
「……そんな事をしてる暇があったら、今日出された課題をやってほしいのだけれど。」
クロアが呆れたように答える。
「大丈夫だ。今日出た課題は後でアクアにノートを見せてもらう予定だ。」
「……そういう意味じゃなくて。」
フレイミの根拠のない自信満々の答えにクロアはため息をついた。
「それよりも私はそろそろクロアに勝たなくちゃいけないと思ってな。」
事実、以前の実技の授業以来魔法勝負をしていない。その時はクロアの圧勝だった。
そもそも魔法の実力、特性においてクロアが圧倒的に有利である。独学で習得したがうえに火力に特化したフレイミの炎属性魔法に比べて、子供の頃から英才教育を受け、“破壊”を特性とするクロアの闇属性魔法の方が優勢だと多くの人は思うだろう。
実際、以前の勝負ではクロアの魔法にフレイミはなすすべもなく敗北した。
にもかかわらず、フレイミはクロアに再戦を申し込んだ。
「……あなた、本当に勝とうと思ってるんじゃないでしょうね。」
アクアが訝しげな顔でフレイミに聞く。アクアは以前の二人の勝負を見ていた。そしてアクア自身は、自分の水属性魔法ではクロアに勝てないと思った。
「当たり前だろ?勝てると思うから勝負を挑むんだ。」
フレイミはいつものように自信満々に言う。アクアは呆れつつも、心配したような視線をフレイミに向ける。
アクアとフレイミは幼馴染で、お互いにどういった性格をしているのかはよくわかっている。フレイミは自分で決めた事に対しては何を言っても無駄である。聞く耳を持たない、というわけではなく、自分が信じた事を貫き通そうとしているだけである。
「じゃあ、放課後に演習場な。」
そう言ってフレイミは一足先に食堂へと向かう。昼休みの時間に練習をするつもりなのだろうか。
「……クロア、どうするの?」
「……アクアは同じ事言われたら断れると思う?」
アクアは答えを言わなかったが、それは二人が同じ回答をするという意味でもある。
「私も、放課後までにしっかり準備をしないとね。」
クロアはそう言って席から立ち上がり、食堂へと足を進めた。
アクアも小さな少女の後を追って行った。

ホームルームも終わり、生徒達が友達と合流して仲良く教室を出ていく中、本来仲がいいはずのフレイミとクロア、そしてアクアは合流する事なく無言で教室を出ていく。お互いに意識し合っているからだろうか、演習場に着くまで終始無言で歩いた。
そして三人が演習場に着いて二人が準備をし始める。
「今回は負けないからな!」
フレイミが準備体操をしながら言う。
「……こっちも、負ける気はないわ。」
クロアが不器用に体を動かしながら答える。
アクアは二人のやり取りを見つめながら思う。フレイミがクロアの魔法に打ち勝つほどの技術を身に着けていなければ、結果は前回と同じだろう。何か秘策があれば別だが、真っ向からの勝負を好むフレイミの性格を考えると、それはないだろう。となると、フレイミは苦戦を強いられる事は間違いない。
アクアの心配している事はそれだけではない。クロアが得意とする闇属性魔法の特性は“破壊”である。クロアの実力を信じていないというわけではないが、万が一フレイミの身に何かあったらと思うだけでも、今すぐに勝負をやめさせたいところである。
しかし、今更止めるのは野暮である。それに、その気になった二人を止める度胸をアクアは持っていない事を自覚している。だからアクアは何も言わずに二人の勝負の仲裁役をする。
「さて、そろそろ始めようか!」
フレイミがそう言うと二人の体が宙に浮き上がり、互いを睨みつける。
「私がどちらかが戦闘続行不能だと判断したら、その時点で勝負は終わりだからね。」
アクアが定型文のようなセリフを言い、二人の様子を地上で見守る。フレイミが右手をクロアに向けて突き出し、クロアが両手をフレイミに向ける。いつでも魔法を放つ準備ができている状態だ。
僅かな静寂の後、アクアの声が響き渡る。
「魔法勝負……はじめ!」

「最初から全開で行かせてもらうぜ!」
フレイミが無数の火弾をクロアに向けて放つ。クロアは臆する事なくそれを軽やかに躱していく。
その最中にクロアは術式を唱え、弾幕を躱し切った後に自身と同じくらいの大きさの紫弾を三発、正面と左右から包み込むようにフレイミに放つ。
フレイミはそれを躱そうとして正面下方を潜るようにして飛翔するが、フレイミを追いかけるように紫弾は弧を描いて曲がる。対象を追尾するように出来ているようだ。
「面倒な攻撃をしやがって……。しつこいんだよ!」
フレイミが右手の拳にありったけの魔力を込めて、紫弾を殴りつけるように打ち返す。あまりにも破天荒な行動にクロアは驚いたかのように見えたが、すぐに追撃の弾幕がフレイミに降り注ごうとしていた。
「そう簡単に追撃させるか!」
フレイミが右手に溜めていた魔力をクロアに目掛けて放つ。
弾幕が魔力の塊とぶつかり合った瞬間、爆発にも似た衝撃が起きた。衝撃で弾幕は消え、クロアは体勢を崩す。
直後、フレイミはクロアに接近、至近距離からの射撃を行おうとする。
間違いなく回避が不可能な間合いなので、クロアが被弾すると思われた。
しかしフレイミが射撃を行う寸前、クロアの身体の周りに穴が開いたような、黒いオーラが包み込むように纏う。
『ブラックホール』。彼女が持つ最高の防御魔法である。あらゆる攻撃を無力化するばかりでなく、踏み入った者に多大なダメージを与える事が出来る危険な術である。
フレイミはとっさに距離を取り、闇に包まれたクロアを睨みつける。
以前敗れたのも、この術によるものだった。この術の前に、フレイミは為す術がなかった。
「さぁ……どうするの?」
クロアがいつもと変わらない落ち着いた口調でフレイミに問いかける。
「どうするもこうするもねぇ……。全力で打ち破るだけだ。」
フレイミ両手をクロアに向けて伸ばす。両手にみるみるうちに魔力が蓄えられていく。
クロアは微動だにせず、フレイミの攻撃を待ち続ける。
そして魔力が限界まで溜まった後。
「受け取れぇぇえええ!!」
両手から熱線が放たれる。フレイミの持つ最大の攻撃魔法『メルティングバスター』である。直撃すれば一撃でダウンさせる程の火力を持つ、豪快な技だ。
クロアは眼前に迫る熱線を避ける事なく、灼熱の炎が彼女の身体を包み込む。
そして、照射を終えた後……。
そこには、傷一つなく佇む小さな少女の姿があった。
しかし少女を包み込む闇は消え去り、少女の姿が宙に残されていた。
フレイミが放ったメルティングバスターはクロアのブラックホールを打ち消しただけだった。
クロアは一瞬驚いたような顔をしたが、憐れむような、哀しいような表情に変わった。
フレイミは乾いたような笑いを浮かべる。
「ハハ……マジかよ……。全力でやっても互角が精々なのかよ……。」
直後、フレイミの身体が傾き、宙から落下する。魔力を限界まで消費したため、意識を失いかけている。
それまでの様子を地上で見ていたアクアがフレイミの身体を宙で受け止め、ゆっくりと地上に降りる。
「……もう懲りた?」
アクアがフレイミの顔を覗き込みながら聞く。
「……認めたくないが、今回も私の負けだ。」
吐き捨てるようにフレイミが敗北を認める。アクアがクロアにサインを出し、クロアが二人の元に降り立つ。
今回も、前回と同様にクロアの圧勝で終わった。

「どうして自分が立てなくなるくらいの魔力を使ったの!?」
アクアが子供を叱るようにフレイミに言い放つ。
「以前やった時は出力が足りないと思ってな……。全力でやれば破れると思ったんだよ。」
実際、クロアのブラックホールを打ち破るのに成功した。クロア自身は無傷ではあるが。
アクアがため息をつきながら魔力をフレイミに供給する。微量ながら、魔力は他人に受け渡す事が可能だ。
「あなたが馬鹿正直に力任せに乗り切ろうとするのは昔から知ってるけど、もう少し考えて戦ってよ。自身の魔力を使いすぎて負けましたなんて、恥ずかしくてみっともないわ。」
「全力でやった結果だろ……。それで文句を言うヤツがいたら、それこそぶん殴ってやるよ。」
この馬鹿は一生治らないなと内心で思いながらアクアはフレイミを立たせる。クロアが気を使って支えるのを手伝おうとする。
「……でも、私も安易にバリアを使ってしまったし、そのバリアも打ち破れたんだから、以前よりは成長してると思う。」
クロアがフレイミをフォローしようとするが……。
「後先考えずにパワーを上げただけで成長なんて言えないわよ!もう少し勝つための手段と努力をしないと、間違いなく自分の身体を壊すわよ!」
アクアが怒ったように言う。フレイミはもう説教は聞き飽きたという顔をして聞き流している。
「とにかく……もう自分が駄目になるまで魔力を使わないで。そこまでして魔法は使うものじゃないから。フレイミのそんな姿なんて、私、見たくないから。」
それまでの説教じみた口調から一転して、大切な友人を思いやるような優しい口調でアクアがフレイミに諭す。
「……そうだな。気をつけるよ。」
フレイミは反抗する事なく答える。やけに素直な彼女の姿を見てクロアは少し不思議に思ったが、特に口にしなかった。
「さて……。帰ったら今日出された課題をみっちりと指導しましょうね。」
「はぁ!?いいよ、必要ないって!」
アクアの唐突な発言にフレイミは驚いた。まさかここで課題について言及されるとは思ってもいなかった。
「あら、誰かにノート見せてもらうつもりだったのよね?残念だけど、それは無理よ。」
「待ってくれよ~。見ての通り、今日はもうヘトヘトなんだよ~。」
「魔力が減っただけなら、晩御飯を食べて少し休めばすぐ回復するわよ。そうよね?」
クロアが無言で頷く。事実、魔力は食事と休息で回復出来る。
「じゃあ、晩御飯の後に部屋に行くから、準備して待っててね。」
「そんな~。クロア、何とかしてくれよ~。」
「……私も一緒に指導してあげる。それでいい?」
「全然良くない!」
「あら、それなら今回の課題は完璧ね。いつもよりも厳しく指導しようかしら?」
「勘弁してくれよぉ……。」
三人は夕暮れの中、仲良く寮に帰るのであった……。




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